10.中継機を効果的に使って電波を安定させる!

親機の置き方で電波状況が改善したものの5GHz帯では2階の広い範囲でまだ電波が弱い(図10)。特に和室と洋間の隅は電波が弱かったので、中継機を追加して効果を確認した(図11)。

初めに中継機の置き場所を検討しよう。親機からの電波を強く受信できる場所で、なおかつ中継機から目的の部屋にも電波が届きやすそうな場所を見つける必要がある。

そのため、今回は先ほどのスマホアプリ、スピードテストを使い、候補の2ヵ所で計測した。

まず、親機の近くで速度計測してみる(図12)。 この5GHz帯で102MbPsという速度がペストの値なので、できるだけこれよりも落ちない場所に中継機を置きたいところだ。

候補点1は、親機を置いた場所の天井と床を挟んだすぐ上。しかも2階のほぼ中央なので、すべての部屋に満遍なく電波が届きそうだ。ここでは5GHz帯で105Mbpsと速かった親機の近くよりも良い計測値だが、これは誤差の範囲だ。

候補点2は階段付近なので、床や天井を通さず親機の場所をほぼ見通せる。だが、計測してみると5GHz帯で97Mbpsとやや速度は落ちた。

そこで、中継機を候補点1に設置してみた。すると、図13のピートマップでもわかるように、2階の全域に強い電波が届くようになり、通信速度も上がった。

◆中継に使う電波も2.4ギガと5ギガがある

中継機は、低価格帯の製品や古い製品以外は、2.4GHz帯と5GHz帯の両方の周波数帯を使えるようになっている。こうした中継機では、親機と中継機の間の通信にどちらの周波数帯を使っていても、子機は両方の周波数帯が使えるようになっている機種が多い。

この場合、親機と中継機の間は子機が使わないほうの周波数帯を使うように設定しておくと、全体として高速で通信できる可能性が高い。親機からの中継と、子機との通信に使う周波数帯が異なれば、中継機は両方の周波数帯でそれぞれ最大の通信速度を出せるからだ(図14)。

◆実はアンテナの向きも電波状況に影響する

アンテナを動かせるタイプの親機を使っている場合は、方向を変えることで電波の届き方を変えられる。

ここまで使ってきた親機はアンテナ内蔵タイプなので、バッファローの「WXR‐1750DHP」を用意し、1階の床に置いて実験した。

古い親機を床に置くと、2階の部屋の隅では通信が途切れることすらあった。一方、新しい親機の威力は大きく、アンテナをどの方向に向けても、2階のすべての部屋で電波が強力に届き、高速な通信ができた。

今回、この状況ではアンテナの向きによる変化を検証できないため、あえて親機の電波の出力を50%に減らしてテストしてみた(図15)。

アンテナをすべて垂直に立てた状態を「ノーマル」として、2階の「子機に対して直角」「子機に向ける」の計3種類の状態を比べた。アンテナの特性から、直角にすれば電波は強くなり、子機に向けると電波は弱くなることを意図した実験だ。ノーマルの通信速度を100として、子機に対して直角のときと、子機に向けたときの速度を割合で示したのが図16のグラフだ。

子機に対してアンテナを直角にしたところ、5GHz帯ではほとんど変化がなかったものの、2.4GHz帯では2倍近く通信速度が向上した。電波なので計測のたびにばらつきは出るものの、アンテナを直角にすると2.4GHz帯ではノーマルよりも速度が上がる傾向があった。

次いでアンテナを子機に向けたところ、5GHz帯ではわずかに悪くなったが、2.4GHz帯ではノーマルより速度が上がった。

親機は1階にあり、2階で速度を計測しているため、電波は天井や床などを通過したり、壁に反射したりして複雑に進む。こうした事情があるため、必ずしも理論通りの結果にならなかったと推測できる。つまり、アンテナの向きによって電波が飛びやすい方向は意識しつつも、実際には試行錯誤して、使いたい部屋で一番良い状態になるようにアンテナを調整するほかない。

ちなみに、アンテナを動かすと、目的の場所以外での電波状況も変化した(図17)。今回のテストでは極端に悪くなることはなかったが、ほかの部屋の電波状況も見ながらアンテナの向きを決める必要がある。

◆最新の機種にすれば親機も子機も効果絶大!

ここまで、占い親機の置き方を変えたり、中継機を追加したりして通信環境の改善を試みてきた。最後に、参考として新しい親機に入れ替えた場合、実際の住宅で電波状況や通信速度がどれくらい変わるか確かめた。

親機をアイーオー・データ機器の「WNPR2600G」に替えると、ピートマップに赤いエリアはほとんどなくなった(図18)。通信速度も向上した。古い親機では、5GHZ帯で100MbpS程度が上限だったが、同じ子機を使っても最大180MbpSを記録した。さらに、子機も新しいスマホに替えて計測したところ、1階では262MbpSという高速な通信ができるようになった。

新しい親機の性能や機能を考えると、この住宅の場合、中継機を追加するよりも親機を買い替えたほうが効果は高いといえる。