4.親機は速度と価格と付加機能を要確認!

11acに対応したスマホやパソコンを使っていても、Wi-FI親機が11nや11gまでしか対応していなければ、通信速度は遅いままで接続性も良くない。パソコンやスマホをより快適に使えるように親機のアップグレードを検討しよう。

現在販売されている親機は、ほとんどが11acに対応している。それらの製品は、図1のように4つのクラスに分類できる。クラスによって最大通信速度、付加機能、価格が異なる。

◆1300メガクラスなら安心!現状では866メガでも十分

最上位の「1733メガクラス」は4本のアンテナで通信し、1733Mbpsという高速通信が可能。ただし、現時点で1733Mbps以上の通信に対応するパソコンやスマホはない。この最大速度を発揮できるのは、親機を2台用意し、1台を中継機として利用したときだけだ。機能的にも申し分ないが、価格は1万円台後半が多く、やや手を出しにくい。ちなみに、ネットギアの最上位モデルは、最新規格で採用された高効率な変調方式を使い、最大2166Mbpsを実現している。

その下の「1300メガクラス」はアンテナが3本になり、最大通信速度は1300Mbps。子機となるノートパソコンの通信速度は433Mか866Mbpsで、一部の上位モデルのみ1300Mbpsだから、性能的には十分以上。付加機能も1733メガクラス並みに充実している一方で、価格は1万円前後と手を出しやすい。

アンテナが2本になる「866メガクラス」は、通信速度が866Mbpsに落ちる。とはいえ、子機の状況を見ると、前述のようにノートパソコンは866Mbps程度、スマホやタブレットも433Mか866Mbpsだ、つまり、現在売られている子機に合わせるなら、親機は866メガクラスでも事足りる。価格は5000円〜1万円と、安いこともあり、このクラスが最もよく売れているという。

製品の出始めは高価だったHac対応親機だが、「低価格クラス」の製品は4000円台から買える。ただし、有線LANの仕様が貧弱で、必要最低限の機能しかない点には注意が必要だ。

◆通信を改善する新機能に注目!ただし子機の対応も必要

通信速度の次に注目するのがアンテナの方式。棒状の外部アンテナを備える製品と、本体に内蔵した製品がある。それぞれにメリットがある。外部アンテナは、向きを調節することで、電波が飛ぶ方向を環境に合わせて変えられる(図2)。

一方、内蔵アンテナの製品は、コンパクトで置き場所を選ばないのがメリットだ(図3)。

最新の親機が備えるさまざまな付加機能の中でも、特にビームフォーミングとMU‐MIMOは押さえておきたい。ビームフォーミングは、親機が専用の通信で子機の位匿を特定し、その場所に向けて最適な電波を送信することで、送受信状況を改善する(図4)。

ただし、ビームフォーミングは、親機と子機の双方で対応が必要。親機によっては独白の方法で子機の位置を推測し、非対応の子機でもビームフォーミングと同等の機能が利用できる製品もある(図5)。

MU‐MIMOは親機に複数の子機を接続したときの速度低下を防ぐ機能だ。これまでのMIMOでは、親機が複数の子機と通信すると、すべての子機に対して同じデータを送信し、子機が必要なデータだけ受け取る。このため、同時に通信する子機が増えると、その分順番待ちが発生し、通信速度が低下する。

一方、MU-MIMOはビームフォーミングを使い子機の位置を特定し、子機ごとに必要なデータだけを送るため効率が良い(図6)。ただし、MU‐MIMOもビームフォーミングと同様に、子機の対応が欠かせない。2017年2月中旬現在、対応するのは国産スマホの一部機種に限られる。

◆高価な製品ほど処理が速い!有線LANの速度にも注意

これまで解説してきたように、Wi-Fi親機はインターネット接続や無線通信などいくつもの役割を担っており、付加機能も多い。さらに、通信の高速化と接続子機の増加により、親機が処理すべき仕事量はますます増えている。このため、高価な上位機種では処理性能が高いCPUを採用し、負荷の増大に対処している(図7)。

有線の最大速度もチェックしよう。低価格クラスの機種は、最大速度が100Mbpsと遅いものがほとんど,これではインターネット回線が1Gbps以上の高速回線だったとしても、その速度をまったく生かせない。

もう一つの有線端子であるLAN側が100Mbpsの場合は、親機に有線で接続したパソコンの通信速度が低く抑えられてしまう(図8、図9)。こちらもチェックが必要だ。

既存の親機を新機種に入れ替える際は、「引っ越し機能」があると便利。既存の親機の基本設定を、簡単な操作で新しい親機に引き継げる。親機の無線設定をそのまま引き継ぐので、子機を設定し直さなくてもよい(図10)。

こうした最新の製品動向を踏まえ、主な親機の性能と機能をチェックしよう(図11)。次のパートでは、どんな人にどのクラスの製品がよいか診断する。